イドフリミエログ

場末のサックスプレイヤーから見える風景

サックス奏者、堀江裕介氏が凄かった件

9/14に行われた、名古屋在住クラシックサックス奏者、堀江裕介氏のリサイタルが凄かったです。

演奏技術はもちろんのこと、どの曲からも、日頃からいかに真摯に音楽を追求し続けているのかというのが沁み出してくる演奏会でした。

いやあ、人間ってのはああいう領域まで到達するんだね、凄いや。

って思いながら帰路に着きました。

 

堀江氏の演奏を初めて聴いたのは、15年位前のナゴヤサックスフェスタ。

彼が大学だったか院を卒業したてっていうタイミングだったのかな。もしかしたら院生だったかも。

曲はなんだっけな、あーもう昔すぎて覚えていないなあ。

でも、とにかく上手だったのは鮮明に覚えています。。

ステージ脇で聴いていて、飛び上がったもん。

 

それ以降、聴くたびに進化し続け、今や(っていうかだいぶ前からだけど)押しも押されもせぬ、日本サックス界発展の一役を担うアーティストの一人として、揺るぎない地位を確立しています。

 

今回、どれも素晴らしかったけど、まず、マスランカのコンチェルトが出色でしたよね。聴きに来られた方も素晴らしさに圧倒されたんじゃないかなと思います。

人間性の深さを求めるようなマスランカからの問いに対し、正対し向き合い回答するような演奏。けど激昂する部分でも最後の最後、抑制が効いているような。

機知に富んだ堀江氏の素顔が見えるようでした。

あと、窪田さんえぐい(笑)。

 

また、コッペルのコンチェルトは、僕にとって忘れられない演奏になりました。

堀江氏のブログにもありますが、あのマウスピースを本当に本番で使って来るとは思わなかったよ。

http://blog.livedoor.jp/horiearion/

 

 

 

お盆くらいに、一緒に色んなマウスピースを吹いたことがありました。

 

f:id:kingsupertwenty:20190918104426j:plain

その時吹いた新品の子達。

f:id:kingsupertwenty:20190918104514j:plain

ウチの引き出しで眠ってた子達



狭いオープニングのマウスピースだと、クラシックの吹き方すると変化が少ないので、却ってどう吹いたって音色が変わってしまうレイキーがいいかな、と思いました。

第一、吹いた瞬間に堀江氏にフィットしていたようだったし。

ま、その時には本番で使うかどうかは置いといて、音のイメージを掴みたいという話だったんですよね。

 

演奏会は、ホールの後ろの方で聴いていたので、マウスピースの判別はつかなかったんですけど、チューニングAを出した瞬間確信。

アーッ!と声を漏らしそうになったのを堪え、のけぞりました(笑)。

途中レイキー付属リガチャーの調節ネジのカチカチ音が響いていましたね。

 

クラシックのマウスピースだとS90 180で1.45mmのオープニングなんですが、レイキーは2mmを超えています。

これ、普段クラシック吹きしてたら、めちゃくちゃコントロールしづらいはず。

しかも本番中に持ち変えるっていう。

 

それを見事にコントロールフラジオも低音ピアニッシモも完璧。

 

一体どうなってるんでしょうね。

嫌になっちゃいますね。

したり顔で「でもね、これだとね、フラジオ出にくくなるんだよね」って言ってた1ヶ月前の僕を呼び戻して殺してやりたいですね。

 

でも、コントロールしているっていう実感無いんだろうな、きっと。

よし、まずは、見習って今度青箱2番を使ってみます。

 

 

 

レイキーを自在に操って見せたことは、単にジャズっぽさを表現する、などという次元ではなく、ジャズの語法をも内包する、堀江氏の芳醇な音楽性を、別の切り口から見せるためのツールだったのではと思います。

 

アンコール、湯山昭のディベルティメントもレイキーでした。

ハイバッフルマウスピース特有の息の入り方を利用した、打楽器的な音の立ち上がりなど、などなど、ジャズ的奏法を見事に消化&昇華しておりました。

 

40代を迎え、今後ますます円熟してゆく堀江氏。

彼の音楽が身近に接することができることに幸せを感じますね。

ありがとうございました。